恩人の話


私はニューヨークに住み始めて間も無く、不法滞在者になりました😅 。しかしラッキーにも永住権宝くじに当たり、永住者になりました😁。

日本での学歴は高卒です。実家は経済的に苦しかったので大学には行けませんでした。当時高校の担任の先生が、私の進学の望みを叶えてあげようと、家に来てくれて親を説得にかかりましたが、惨敗でした。そして18歳で家を出て社会人となりました。5年が経った頃、3人の仲間とアメリカに行くこ事になり、3ヶ月の滞在予定で渡米しました。でも期間が過ぎても私は居残りました。もっとアメリカに居たかったから。移民局に見つかるのが怖く、隠れるように生活している状態でした。

晴れて永住権を取得できた私は、大学の学費がアメリカ人扱いになり、外国人学生の高額な学費を払わなくてよい事を知り、一旦断念した進学をやり直したくなり、勉強を始めました。大学生になれたのは20代後半でした。


ニューヨーカーは超多忙です。フルタイムで仕事をしながら、学業もフルタイムでこなす人が沢山います。私の頭ではどう頑張ってもそんな訳には行かず、経済的にも苦境に落ちていた頃、ある男性 に会いました。年齢は父と同じくらい。当時5社あったNY最大の会計事務所のひとつで、日本人で最初にパートナーの地位に着いた方です。この方が後に私の恩人になり親代わりになってくれるのです。


最初は、奨学金の手続きに必要な書類を依頼するお電話で、学生用の納税書類を作成して頂きました。一度の電話で要件は終了したのですが、その後偶然お会いしました。こんな会計士さんだったんだー「その節はありがとうございました。」会計士の先生は「ご苦労されてるんですね。」私は「ナハハーッ」と返して、軽くお話して終わったと思います。


その後、暫くしてその事を忘れていた頃、会計士さんから電話が来て、どんなやり取りだったか忘れましたが、「本当は凄く困っているんじゃないですか?」と、途中から直球の質問をしてきました。私は茶化すのをやめて、「はい」と正直に答えました。先生は言いました「私にお手伝いさせて貰えませんか?」私は「はぁ・・・?」先生は「あなたが大学を続ける為のお手伝いさせて下さい。見返りは何も要求しません。要求は大学を卒業してもらう事だけです。お願い。」以前もこんな物言いをする人がいた。クリスチャンの人だった。博愛精神が皆無だった私は、他人のお手伝いをして更にお礼を言うクリスチャンを見て、衝撃を受けた事がありました。


そして2度目はレストランで会う事になりました。食事を済ませた後、先生はおもむろにポケットから小切手を出し、大きな金額を書き込み、私に差し出しました。私は生唾をごっくんと呑み、目の前の小切手を見つめました。電話での会話は冗談ではなかった。これを受け取ったらどうなるんだろう・・・。「先生はなぜ私にこんな事をしてくるんですか?」先生は「あなたが気に入ったからですよ。それだけ。」と言いました。私は人に褒められる事に慣れていない。無条件の愛を知らない。こんな変わった人に会った事もない。受け答え方がわからないけど、とにかく自分に失うものはな何もない。「ありがとうございます!」両手で受け取ってしまい込みました。


後日、先生はクリスチャンですか?と聞きました。先生は牧師になるつもりでニューヨーク大学で神学を専攻していたけど、考え直してビジネスの世界に進みMBAを取得した。先生のお父様は、やはりアメリカに留学し、神学で博士号を取得した人だったという話をしてくれました。野良犬のように生きていた私がドッグウィスパラーに出会ったようなもので、この先生から新しい世界観を学んでゆくのです。

そして私が大学を卒業するまで、先生は私の生活費を助けながら、色んなレストランやクラシックコンサートなどに連れて行き、社会勉強をさせてくれました。女性の友人にも私を紹介し、その友人たちも私の事を可愛がってくれました。


つづく